遺言の種類と作成方法
遺言には、普通方式と特別方式の2種類があります。普通方式による遺言は、さらに3種類に分類できます。
・自筆証書遺言
自ら筆を執って遺言者が作成します。全文本人の手書きであることが求められ、機材を使用した場合は遺言書として認められません。
日付と名前の記入を忘れずにし、加えて実印(市区町村役場に登録したもの)での押印も必要となります。
訂正や封筒の作成の際に不備が起きやすいという難点もあり、注意が必要です。偽造の恐れがあるため、保管場所にも気を付けましょう。家庭裁判所に検認をしてもらうという手続きも忘れずに行いましょう。
・公正証書遺言
公証人に遺言者が依頼して作成します。遺言者が公証役場に赴き、遺言の作成時に2人以上の証人に立ち会ってもらう必要があります。遺言者・証人・公証人それぞれ、署名と実印の押印を求められ、遺言者はさらに印鑑証明書を提出することが必要となります。
この他に事前に必要となる書類については、不動産登記簿謄本、遺言者・相続人・受贈者の戸籍謄本と住民票、不動産の評価証明書等があります。
証人に関しては、遺言者の配偶者、直系血族、法定相続人、未成年者の選定が禁止とされています。また、公証人の配偶者や四親等内の親族、公証役場の人物等も証人にはなれません。
専門家に証人を依頼することが無難です。
自筆証書遺言とは違い、家庭裁判所の検認は不要で偽造の恐れもありません(公証役場・本人・証人等複数人が遺言書を補完するため)が、証人に遺言内容が知られるうえに自筆証書遺言よりも費用がかかりやすいという難点があります。
原本は公証役場で20年保管され、正本と謄本は遺言者に交付されます。また、公証役場に手数料を支払う必要もあります。
・秘密証書遺言
作成した遺言書に公証をしてもらう方法です。公証人のところまで2人以上の証人を同行させる必要があり、要件不備や保管(本人で保管する必要があるため)の面での不安要素があります。
代筆が可能で、手書きである必要もありませんが、家庭裁判所の検認は必要です。また、封書が必須となります。
上記で述べた普通方式の場合、遺言を書面に残すことが原則となります。財産について言及する場合は、より明確で詳細に述べるようにしましょう。
次に、特別方式についても2種類に分類できますが、どちらも特殊な場合の遺言です。
・危急時遺言
死が迫っているときに行われる遺言の形式です。病気や遭難といったときに用いられます。
・隔絶地遺言
一般からは隔離された環境にいる場合や連絡が取れない場合に用いられる遺言の形式です。